「書生」というのは、聞いたことがある。地方から出てきた学生が、いわゆる篤志家の屋敷に下宿しながら、ちょっとした使用人を勤めるやつだ。家主の方でも、そういった知識人を抱えることがステータスでもあり、また学閥などへの人脈を期待していたりもする。そんな立場の若者のことだ。
だがそれを知ったのは随分と古い小説の中のことであり、それがこの時代にもまかり通る概念なのかシロヤギウスは知らなかった。少なくとも、周りに書生などという肩書を持つ者はいなかった。
「あの、面接ですか?」
気がつくと、ガラス越しの職員たちと同じような制服を着た若い男が、すぐそばに立っていた。

0 comments:
コメントを投稿