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男は配達員で、たったいま今日の配達を終えて帰ってきたところだった。いつの間にか貼り紙の前で考え事に熱中して、彼がここまで乗ってきたはずのバイクの音も、ガラス戸を開ける音も、耳に入らなかったのだ。

 

気がつけば窓口に陣取っていた老女の姿もなかった。対応を終えた女性職員はそのまま窓口で下を向いて、黙々と何かの事務仕事をしている。

 

シロヤギウスは求人に興味があるわけではなかった。だがぼんやりしていたところへ急に話しかけられて、すぐには答えられなかった。

 

あ、いえ、ええと、としばらくモゴモゴつぶやいて、ようやく

 

「あの、ここは何という場所でしょうか」

 

と、なんともこの場所に不釣り合いな、頓珍漢な返答をした。

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